10人が本棚に入れています
本棚に追加
そこでは採血とインフルの簡易検査を受けた。幸い、インフルのほうは陰性だった。それと合わせて、ここ最近のことについていくつか質問された。抜歯など歯科治療を受けたか。産科処置(中絶、堕胎など)を受けたか。その他、大きなけがや病気をしたか。言わずもがな、答えはすべてノーだ。なお、体温は37℃と微熱で、カゼ薬と抗生物質を処方された。
さらに翌日の水曜、朝の時点で平熱だったのでわたしは登校した。午前の体育の授業も問題なくこなした。結局、ただカゼぎみだっただけなのだ。……とすっかり安心していた。
が、午後になってから急に、体調はこれまでにない悪化を見る。ひどい悪寒と吐き気、それに伴う倦怠感。頭痛や喉の痛みはとくにないものの、その症状はカゼやインフルと変わらない。きのうからけさにかけて、処方された薬は3回飲んだ。午前中の体調がよかったのはそのおかげにすぎなかったということか。
6時間目終了後、わたしはトイレに駆け込み、吐いた。うかつなことに処方薬を持参してはいなかった。水曜は帰りのHRと掃除ののち、7時間目が続く。掃除の時間に保健室の戸を叩いた。市販のカゼ薬をもらい、熱を測る。38℃ジャスト。保健師の先生は早退を勧めてきたが、大丈夫ですとわたしは固辞した。距離的に迎えに来てもらうのは無理だし、それなら少しでも薬が効いてくるのを待つほうがましだと思ったのだ。
7時間目、英語のBクラスの授業は2組の教室で行なわれる。席は決まっておらず、ノノちゃんと前後か隣り合わせで座るのがいつもの流れだ。彼女はわたしの体調の異変に気づいた。大丈夫ちょっと熱あるだけとあくまでわたしは強がったが、授業が終わると彼女は同じ教室にいる杉本くんに声をかけた。須藤ちゃん体調悪いみたいで……。そう伝え、一瞬だけわたしに目配せしてひと足先に教室から消えた。
「うまくやれよ」と彼女は言いたいのである。
最初のコメントを投稿しよう!