わたしたちの失敗(2)

16/21
前へ
/21ページ
次へ
「マジで?」杉本くんが色めき立った様子で言う。「あー気にすんな。クリスマスがだめでも新年会があるだろ」  それもだめかも、とは言えなかった。それどころか最悪の場合、バレンタインに間に合うかどうかも怪しい。  代わりに言う。「エリナとのことは、もう心配しないで。ちゃんと話してみるから」 「そっか。やっぱなー、おれがあれこれ企てるよりそっちのがいいよな。女どうしの話だもんな。あーなんかおれバカみたいだ」 「そんなことないよ。ありがと」言いながら微笑みかけた。「杉本くんといろいろ話したおかげでわかったもん。やっぱ、エリナのことは嫌いになれないって。そりゃそうだよね、命救われたことだってあるし」 「命救われた?」  どこかおかしそうに彼が問う。なにかのたとえと思ったのかもしれない。  わたしは文字どおりの出来事を話した。5月のあの日、飛び込み自殺を図ったことを。失恋のショックから、突発的に。  彼は絶句した。どうやらまったく知らなかったらしい。ただ一方で納得もしたようだ。なぜなら、それはわたしが定期をなくした前日のことだったからである。  そうだったんだ……。ため息をつき、彼は言った。「おれも白状するよ」 「なに?」 「おれと奥沢がグルだったってこと。つまりその……須藤ちゃんの定期隠したの」 「それちょっと違うんじゃない? 杉本くんただ協力させられただけでしょ、エリナに」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加