わたしたちの失敗(2)

9/21
前へ
/21ページ
次へ
「じゃああの人にとってわたしは疲れる友達だったってわけだ」 「まあ……そういうことになるな。でもさ、関係が長続きする友人って結局そっちのタイプだと思うんだよ。簡単に取っ替え引っ替えできないから」 「たしかに、わたしにとってもエリナは『疲れる』タイプの友達だったかもね」  疲れるってそれ違う意味に聞こえんだけど、と杉本くんは苦笑する。「岡野さんは?」 「ノノちゃんは両方だと思う。恋バナもするし数学のむずかしいの一緒に解いたりもするし。ただ性格が穏やかだから一緒にいて楽なんだよね」 「そっか。まあなにがいいか悪いかなんて一概に決められないよな」 「ちなみにナカちゃんとジュリちゃんは……どっちかってゆうと軽いほうかな? でもわたしはみんなとずっと友達でいたい。もう誰も失いたくないから」 「……やっぱりだめなのか? あいつとは」 「……」  杉本くんはふとカップを手にしたかと思うと、冷めたとみられるコーヒーを一気に飲み干し、いかにも苦そうに表情を歪めた。 「わたしのも飲む?」 「コーヒー苦手なんだよ。なんで勝手に注文したわけ? コーラとかのがよかったのに」 「まったりお茶しにきたわけじゃないから……」  わたしはコーヒーに砂糖とミルクを加え、彼と同じく一気に飲み干す。勝手に注文したのはたんにこの場の主導権を取るためだった。  カップを置いたところで彼が言った。「とにかく話してくれてありがと。それだけでだいぶ気が楽になったわ」 「杉本くん、中1のときさ、エリナとノノちゃんが日直したときのこと覚えてる?」 「中1のとき? なんの話してんの」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加