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「じゃああの人にとってわたしは疲れる友達だったってわけだ」
「まあ……そういうことになるな。でもさ、関係が長続きする友人って結局そっちのタイプだと思うんだよ。簡単に取っ替え引っ替えできないから」
「たしかに、わたしにとってもエリナは『疲れる』タイプの友達だったかもね」
疲れるってそれ違う意味に聞こえんだけど、と杉本くんは苦笑する。「岡野さんは?」
「ノノちゃんは両方だと思う。恋バナもするし数学のむずかしいの一緒に解いたりもするし。ただ性格が穏やかだから一緒にいて楽なんだよね」
「そっか。まあなにがいいか悪いかなんて一概に決められないよな」
「ちなみにナカちゃんとジュリちゃんは……どっちかってゆうと軽いほうかな? でもわたしはみんなとずっと友達でいたい。もう誰も失いたくないから」
「……やっぱりだめなのか? あいつとは」
「……」
杉本くんはふとカップを手にしたかと思うと、冷めたとみられるコーヒーを一気に飲み干し、いかにも苦そうに表情を歪めた。
「わたしのも飲む?」
「コーヒー苦手なんだよ。なんで勝手に注文したわけ? コーラとかのがよかったのに」
「まったりお茶しにきたわけじゃないから……」
わたしはコーヒーに砂糖とミルクを加え、彼と同じく一気に飲み干す。勝手に注文したのはたんにこの場の主導権を取るためだった。
カップを置いたところで彼が言った。「とにかく話してくれてありがと。それだけでだいぶ気が楽になったわ」
「杉本くん、中1のときさ、エリナとノノちゃんが日直したときのこと覚えてる?」
「中1のとき? なんの話してんの」
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