わたしたちの失敗(3)

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「だって気になったんだもん!」駄々っ子みたいに彼女は主張した。「友達の友達は友達だからぶっちゃけちゃいな~、みたいな? 経験豊富なエリちゃんが相談乗ったげるよ~、みたいな?」 「経験豊富って中学で三つ股かけられただけじゃん!」 「ああん!? 殺すよあんた」  ノノちゃんごめん……。わたしはけんかしたときの発言を悔いた。ノノちゃんは自分が好きになった人静かに想い続ける人だとかなんとか……。 「ね、外でない?」同室の患者の視線を感じ、とりあえずわたしは言った。 「ま、ここで言い争うのもあれだしね」彼女は同意する。  ベッドサイドに車椅子がある。その点滴棒に点滴をセットし、体を移した。  エリナは背後にまわり、なんだか楽しげに車椅子を押す。「冬休みのあいだ須藤家に住みつこっかな~。あんたの代わりに」 「ねえ」わたしはまじめに聞いてみる。「そんなに家帰りたくないの?」 「どうかな~。なんだかんだであたしがいなきゃママさびしがるからなぁ……」  やはり家庭環境にその原因があるのだろうか……。疑問に思いつつも、これ以上突っ込んで聞く気は失せた。はぐらかすような彼女の返事を聞き、まだその時機ではない気がしたのだ。この先、クラスが別々になってもわたしたちの付き合いは続くだろう。なら、いまは彼女のありのままを受け入れてやればいい。「ま、いつでも来なよ」
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