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「少し気になった。ほら、梶前さんって入学してから誰とも仲よさそうに話したところみたことないし……まだ1カ月近くしかたってないけど」
「そう、でも私他人に興味ないの。この台詞何十回目かしら」
彼女は入学以来今日まで、この台詞を言い続けて誰とも仲良くしようとはしなかったのだ。そしてある意味うちのクラスの有名人となった。
「へえー、あ、そのカバンについているキーホルダーって、あれだよね。キラキラジュエル。あと、魔法少女リング、多分、美樹れいか……かな。」
日曜朝の時間帯に会っている美少女戦隊シリーズ最新作「魔法少女プリティー☆キュアーズ」そのメインキャラクターの1人美樹れいか。変身前の委員長キャラと変身後は他の魔法少女より優れた戦闘能力を持つという最強に近いキャラなのだが、いかんせん精神面が弱すぎて、最弱キャラに甘んじている。残念なキャラである。
「あら、よくわかったじゃない。それにしても、今シリーズで1回しか出番がなかったこのキラキラジュエルと、みんな似たようなリングをしているのに区別がつくなんて、あなた相当のアニメオタクね」
「いや違う。妹と見ていたら覚えただけだ」
ここだけは断固否定させてもらう。ちなみに美樹れいかの魔法少女リングの特徴は、他のリングより小さくて細いところだ。
「そう、妹、ね……」
彼女は少し考えるようにして、こう提案してきた。
「痛いのは勘弁してほしいのよね」
「そりゃあ、できれば」
残念?ながら痛いことをされて興奮するような特殊な趣味は持ち合わせていない。
「じゃあ明日の放課後、第3校舎の屋上に来なさい。痛いお灸をすえられたくなかったら、だけど」
そう言って彼女は、僕の首筋からハントマンを下げ、手際よく収納し、スカートのポケットに突っ込むと、こちらには目もくれず自転車で走りだした。
僕は首筋を触り、異常がないことを確認すると家へ向かった。
やっぱり、ツールナイフを首筋に突き付けられるのと台所に置いてある刺身包丁を首筋に突き付けられるとではプレッシャーが違うな。そんなことを思いながら……
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