15663人が本棚に入れています
本棚に追加
「アステリアよ、よくぞ帰って来てくれた。父として、娘の帰還を嬉しく思うぞ」
「ありがとうございます、お父様」
「そして貴君が、娘を助けてくれたという人だね?」
「助けたっつうか、俺も命の危険があったからドラゴンを倒しただけっすけどね」
「貴様っ!国王に何たる口を――!」
「気にするな。私もその方が気楽だ。では、改めて我が娘を助けてくれてありがとう。私はノートリクス帝国第13代国王のクルセス=ノートリクスだ」
「はあ…サカキです」
この人良い人だ……今まで周りにいた大人達が霞むくらい良い人だ……。
「サカキ君、と言ったね?貴君はこれからどうするのかな?」
「そうですね~……とりあえず、もう旅も疲れたんでここら辺に根を下ろすつもりです」
「そうかい……なら、私に何か出来る事はあるかい?」
「え~……あ、じゃあギルドとかあります?」
「勿論あるよ。ギルドに入るのかい?」
「はいな、入らせてもらえると嬉しいですね。あ、一番治安が良いギルドでお願いします」
「それなら、『剛の里』がお勧めかな?中々強いギルドで、そこのマスターが不正やいじめを嫌う人だからね」
「じゃ、そこでお願いします。あ、「貴君」って呼び方止めて下さい。俺、そんなに上等な人間じゃないんで」
「………君は不思議だね。王族に頼み事が出来るのがどれだけ凄いのか分かってるかい?」
「知りませんし知ろうとも思いません。俺、ただの一般人なんで」
「……ふふっ、プラチナドラゴン二体を瞬殺した君が、『ただの』一般人か」
国王はひとしきり笑って
「それじゃ、紹介状を書いておくよ。ああ、そうそう。私のことも、クルセスでいいよ」
「さいですか。それじゃ俺は、クルセスさんが紹介状を書くまでどこにいればいいですかね?」
外はもう日が落ち始めている。午後5時といったところだろうか。
「来客用の客室がある。そこで今日は休んでくれ。どうせ宿も決めてないんだろう?」
王族の客室?
客室=ベッドがある=王族だから超高級=ふかふか=最高だぜ!!
「分かりました!」
「じゃあ、メイドに案内させるよ。明日、またここに来てくれる?」
「了解で~す」
「リアは明日学校だから、早く寝なさい」
「分かりました、お父様」
――――
最初のコメントを投稿しよう!