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途端、闇が蠢き俺を突きささんと伸びてきた。
「うおっ!?」
避けた所にも闇が鞭の様にしなってきたからしゃがんでかわす。
ハッ。多分コイツの能力は自身を闇に変える事が出来るのかね?さっきから姿が見えんし。そして、周りの闇を操るってところか?っていうかこの空間全部が闇だから危なくね?
試しに一発行きますか。
「《ディバインレーザー》!」
全方位に光魔法の神級のレーザーを射出する。しかし、レーザーは呆気なく闇に呑み込まれた。
あっるぇ~?普通、闇の弱点は光って相場が決まってるのになー。
『ソノ程度デ妾ヲ倒ソウナド、片腹痛イワ!!』
闇は周囲に蠢き、次々と俺へ向かってくる。
「ちっ」
《ディバインレーザー》で薙ぎ払ってもキリが無い。そして今度は、無数の闇から魔法陣が現れ、黒い津波が押し寄せる。
「鬱陶しい!《テクノシューター》!」
今度は無魔法の神級をぶっ放す。無色の球体が津波へ飛んで行き、急速に巨大化し津波を掻き消していく。しかし、津波を消し飛ばすだけでやはりダメージは見られない。
『妾ニ触レル者ナドオラヌ。神々デサエ、妾ヲココニ閉ジ込メルノガヤットダッタノダカラナ』
途端、俺の周りの闇が濃くなる。
「あ、ヤバいかも……」
囲まれた、と気付くが…
『遅イ!!』
闇が凝縮され、爆発した。
―――――
『フウ……』
ソレは、サカキのいた空間が潰れるのを見て、溜息をついた。何に対しての溜息だったかは自分でも分からなかった。
今まで一人だって、自分と対話してくれなかった。
存在する総ての存在が、自分に恐怖し、拒絶し、隔絶した。
自分は総てから憎まれていると、思っていた。
だが、あの男は違った。
今まで誰もが恐怖してきた自分を恐れず、対話してきた。
総てが拒絶した自分を、使い魔にすると言ってきた。
憎まれる事しか知らなかったソレは、唯怖かった。
初めて話した事も、その瞳が嘘を言ってない事も。
そして何より、内に潜む温かさが怖かった。
『…………』
あの男はもう見えない。先程の攻撃で死んでしまったのだろうか……
『使イ魔契約、カ……』
あの男について行けば、自分は変わっていたのかもしれない。しかし…彼はもういなかった。
『フン、マタ妾一人カ………』
「いや、お前は一人じゃねえぜ?」
『ッッ!!?』
瞬間、強い衝撃がソレを襲った。
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