テンプレはテンプレだからこそ、テンプレと言われるものだ

15/42
前へ
/752ページ
次へ
途端、闇が蠢き俺を突きささんと伸びてきた。 「うおっ!?」 避けた所にも闇が鞭の様にしなってきたからしゃがんでかわす。 ハッ。多分コイツの能力は自身を闇に変える事が出来るのかね?さっきから姿が見えんし。そして、周りの闇を操るってところか?っていうかこの空間全部が闇だから危なくね? 試しに一発行きますか。 「《ディバインレーザー》!」 全方位に光魔法の神級のレーザーを射出する。しかし、レーザーは呆気なく闇に呑み込まれた。 あっるぇ~?普通、闇の弱点は光って相場が決まってるのになー。 『ソノ程度デ妾ヲ倒ソウナド、片腹痛イワ!!』 闇は周囲に蠢き、次々と俺へ向かってくる。 「ちっ」 《ディバインレーザー》で薙ぎ払ってもキリが無い。そして今度は、無数の闇から魔法陣が現れ、黒い津波が押し寄せる。 「鬱陶しい!《テクノシューター》!」 今度は無魔法の神級をぶっ放す。無色の球体が津波へ飛んで行き、急速に巨大化し津波を掻き消していく。しかし、津波を消し飛ばすだけでやはりダメージは見られない。 『妾ニ触レル者ナドオラヌ。神々デサエ、妾ヲココニ閉ジ込メルノガヤットダッタノダカラナ』 途端、俺の周りの闇が濃くなる。 「あ、ヤバいかも……」 囲まれた、と気付くが… 『遅イ!!』 闇が凝縮され、爆発した。 ――――― 『フウ……』 ソレは、サカキのいた空間が潰れるのを見て、溜息をついた。何に対しての溜息だったかは自分でも分からなかった。 今まで一人だって、自分と対話してくれなかった。 存在する総ての存在が、自分に恐怖し、拒絶し、隔絶した。 自分は総てから憎まれていると、思っていた。 だが、あの男は違った。 今まで誰もが恐怖してきた自分を恐れず、対話してきた。 総てが拒絶した自分を、使い魔にすると言ってきた。 憎まれる事しか知らなかったソレは、唯怖かった。 初めて話した事も、その瞳が嘘を言ってない事も。 そして何より、内に潜む温かさが怖かった。 『…………』 あの男はもう見えない。先程の攻撃で死んでしまったのだろうか…… 『使イ魔契約、カ……』 あの男について行けば、自分は変わっていたのかもしれない。しかし…彼はもういなかった。 『フン、マタ妾一人カ………』 「いや、お前は一人じゃねえぜ?」 『ッッ!!?』 瞬間、強い衝撃がソレを襲った。
/752ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15663人が本棚に入れています
本棚に追加