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「……私のした事って、無駄だったの?」
「いや、無駄ではないんじゃないか?」
「え?」
「言っただろ?俺は『恋愛をしたことがない』んだ。だから、これから誰をどんな風に好きになるか分からん。それはつまり、お前にも可能性があるってことだぞ」
「………つまり」
「俺と結婚したいってんなら、俺を惚れさせてみな」
ニヒルに笑って、俺は踵を返す。
「分かりました!」
「は?」
「主様がそう言うなら、妾も努力しようかの」
なんか、リアとアンが凄いやる気出してる。何故かは知らんが、とりあえず二人の背後にいた修羅が消えてるから、良い事でもあったんだろう。
「待って」
「んあ?」
闘技場を出ようとした途端、ラナに呼びとめられた。
ていうか、今まで静かだった闘技場が急に五月蠅くなった。「こんのリア充があああああああ!!!」やら「サカキ マスト ダーイ……」やら、不穏な言葉が聞こえてくる。
「何だよ?もう終わったぜ」
もう帰りたいです。まだこれから帝会議があるのに。
そんな俺に、彼女は右手を差し出してきた。
「握手しましょ。決闘も終わったから、これからよろしくね」
「ああ、そんなことか」
ほい、と軽く手を握り返す。と、予想外に力強く握りこまれた。
「そ・れ・と。貴方言ったわね?『貴方を惚れさせてみろ』って」
「ん?そうだな。とりあえず放してくれ」
「私、諦めないから」
「ハイハイ、分かったからはn…」
ぐいっと手を引っ張られる。完全に予想もしてなかった奇襲に、俺の体は呆気なく前へ崩れ、
ラナの唇が、俺のと触れた。
「「「!?!?!?!?!?」」」
「ふふっ、これは宣戦布告よ。私の初めて、ありがたく受け取りなさい」
そう言って、ラナは悠然と闘技場から出て行った。
「…………………………………」
あまりの事態に呆然とする俺。そこに……
「サカキサン?」
「主様?」
「あだだだだだだだっっっ!!!?」
俺の肩を粉砕せんと言わんばかりに、二人の修羅が掴んできた。
「え!?えっ、何で!!俺は何もしてnほえふぁfgrgじあfrghたfrhtd」
『『『うわあ………』』』
その後の惨劇を見た者は、『暫くリア充はいいや』と思ったらしい。
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