第8話

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「花菜ー!焼きが間に合わないー!お願いー!」 「はーい!」 イケメン風喫茶は意外と好評で、かなり忙しかった。 イケメン目当てというわけではなく、パンケーキをメインメニューにしたのが女子にウケたらしい。パンケーキを焼くのが間に合わず、花菜はほぼ焼く側にまわっていた。 「あ、もう材料少ないよ」 花菜は生地を混ぜながらクラスメイトの女子生徒に声をかけた。 「それなくなったら終了だって。先生にも言われてるんだ」 「あと一息だねー。パンケーキ終了の貼り紙しとく?」 ほっとする。 正直くたくただった。 体力的にも、精神的にもだ。 今日は色々ありすぎた。 「ねえねえ!成宮君来たよ!コーヒーふたつとパンケーキひとつね!」 クラスメイトの言葉にどきりとする。 他の女の子達もそれに反応する。 「マジで?試合かっこよかったよねー」 「私運びたいー」 あの試合は、誰が見てもカッコいいと思う。 お客で来ただけで、女子達のはしゃぎよう。やはりスポーツが出来て、イケメンとなると、女子達は放っておかないだろう。 「パンケーキ食べるのかな?」 「なんか似合わないねー。クラスの男子と来てるから、そっちかもね」 確かに、甘いのは苦手なイメージだ。 「矢澤いるー?」 落ち着いた男子生徒の声に、皆がしんとなる。 見ると、パーテーションから田中が覗いていた。 「どうしたの?」 「いや、展示の事でちょっとさ」
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