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「花菜ー!焼きが間に合わないー!お願いー!」
「はーい!」
イケメン風喫茶は意外と好評で、かなり忙しかった。
イケメン目当てというわけではなく、パンケーキをメインメニューにしたのが女子にウケたらしい。パンケーキを焼くのが間に合わず、花菜はほぼ焼く側にまわっていた。
「あ、もう材料少ないよ」
花菜は生地を混ぜながらクラスメイトの女子生徒に声をかけた。
「それなくなったら終了だって。先生にも言われてるんだ」
「あと一息だねー。パンケーキ終了の貼り紙しとく?」
ほっとする。
正直くたくただった。
体力的にも、精神的にもだ。
今日は色々ありすぎた。
「ねえねえ!成宮君来たよ!コーヒーふたつとパンケーキひとつね!」
クラスメイトの言葉にどきりとする。
他の女の子達もそれに反応する。
「マジで?試合かっこよかったよねー」
「私運びたいー」
あの試合は、誰が見てもカッコいいと思う。
お客で来ただけで、女子達のはしゃぎよう。やはりスポーツが出来て、イケメンとなると、女子達は放っておかないだろう。
「パンケーキ食べるのかな?」
「なんか似合わないねー。クラスの男子と来てるから、そっちかもね」
確かに、甘いのは苦手なイメージだ。
「矢澤いるー?」
落ち着いた男子生徒の声に、皆がしんとなる。
見ると、パーテーションから田中が覗いていた。
「どうしたの?」
「いや、展示の事でちょっとさ」
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