393人が本棚に入れています
本棚に追加
僕はサキュバスさんと、残念というか若干怖い月ヶ洞理事長に呆れつつ、かなり早く手続きが終わったことになんだか安堵して、
「……では、僕たちはこれで。失礼します」
「うむ、それでは失礼する」
僕たちは退室しようとすると総学院長が、
「ああ、舌崎凡人。お前はちょっと残れ。あと月ヶ洞。一回退室してくれ」
「ヤですヤです! 雨宮様のお傍にいたいの!」
「……あとでおにぎりでも作ってやるから」
「マジですかァ!? 雨宮様の汗にまみれたおにぎり……! 鮭でお願いしますね!」
月ヶ洞理事長はよだれを撒き散らしながら部屋を飛び出した。美人でもやることがぶっ飛ぶと見ていられなくなるんだな……。
「何故ナミヒトだけなのじゃ? 我は必要ないのか?」
「ああ、これから聞きたいことは連合は関係ないし、舌崎個人の話だからな。ちょっと部屋の前で待っててくれ」
「ふむ……。分かった。待っておろう。手早く済ませるのじゃぞ」
サキュバスさんはそう言い残し、部屋を出てドアを閉めた。と言うか総学院長に対しても本当に尊大口調だなぁ。素だから仕方ないのだろうけど。
「くっくっ、あいつ俺が目上の人だって分かってんのかよ。流石良いとこのお嬢さんだ」
しかし、尊大口調で接せられた当の本人は口ではそういうが、特に気にした風でもなく、むしろ楽しそうに笑っている。寛容なのだろうか。
「それで、総学院長。話とは……?」
最初のコメントを投稿しよう!