第1話 門番と悪魔

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全く、なんだよこの街は。 真面目に自宅警備をやっていたら急に衛兵がやって来て 「門番っていい仕事だと思わない? やれ」 とか唐突に言って来た。 一瞬耳を疑ったわ。 こっちは勇者を引退した身であり、歳は24だ。 やっと勇者の職務である魔王討伐を終えて安泰で快適な暮らしを送っていたのにその平穏が崩れた。 ってか元勇者にその態度はどうよ? 「あ、え~と、お断りします」 勿論、断る理由しかなく断る。 「門番しないと打ち首だそうです」 「なんでだよっ!?」 門番しないと打ち首ってなんだよ! よく、元勇者に向かって打ち首宣言できるな!! 「実は、腕の立つ門番がいなくて……」 探せよっ! 探してないだろ!! うじゃうじゃいるだろ門番候補ぐらい。 「王様の勅命であなたに白羽の矢が刺さりました」 あ~、あの法は緩いけど命令には絶対従えって言ってたあの国王か。 お陰様で魔王討伐でたんまり貯めた金を税で貪られずにすんでウハウハだったが、今は殺意しか込み上げてこない。 「しゃーねー、やればいいんだろ?」 「ありがとうございます、では後ほど仕事内容について御伝達します」 こうして、俺は勇者から門番にジョブチェンジした。 滅びねーかなこの街。
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