きんきのうた

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きんきのうた

ああきみに 会うこと自体が こんなにも罪深いことなんて ああきみに ふたたび会うことが おかしてはならぬ禁忌だなんて ただわたしは その禁忌をも乗り越えて きみに会いに行きます たとえ楽園を追われようとも たとえ短剣を突きつけられようとも ただわたしは きみに会いに行きます 喜んで毒リンゴをかじり 喜んで死んだふりをもして きみに会いましょう しかしわたしは 決してきみを悲しませたりはしません わたしの中へと入った毒は 薬へと変えられて きみに口移し きみの深い眠りをも覚ましましょう わたしの死んだふりは あなたが哀しみにくれる前に 幸福なサプライズへと変えてみせましょう ああきみは その戒律を敬虔に 厳格にも守り わたしにも強制するのですね ああきみは 自己の平穏をただひたすら 頑なにも守り 静寂を乱すわたしを拒絶するのですね ただわたしは その戒律をも 説き伏せて きみに会いに行きます たとえ翼を焼かれようとも たとえハゲタカについばまれようとも ただわたしは きみに会いに行きます あえて大空を太陽に向かって高く飛び込み あえて飛んで火に入り焔を手に入れ きみに会いましょう しかしわたしは 決してきみを悲しませたりはしません わたしの焼かれた羽根は 不死鳥の炎の翼へと変わり きみを優しく包み込み きみに聖なる守護を与えましょう わたしの手に入れた光明は きみの足元を照らし きみの輝かしい未来をも約束させましょう ただわたしは きみに会いに行きます ただわたしは きみに会いに行きます
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