1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ういー、先投げんぞ」
「あっ、ふくちゃんズルーい、じゃあ次俺ねー」
「なら企画者の俺がその次で、最後は必然的に礼治だな」
「…………」
もはやレイは突っ込むのも疲れたようだ。可愛そうとは思わんが、なんか見てて悪いと思う。
そんな事を考えてると早速ふくちゃんがストライクを叩き出した。相変わらず上手いんだよな、見てて羨ましい。
数分後、ふくちゃんもアキも投げ終わって俺の番が回ってきた。一投目ってなんか緊張するよな、いやコクった時より断然マシだけど。そんな事考えてると、ふくちゃんが話しかけてきた。
「ピュアかまなんだから余計なこと考えねーで、ピンにでもぶつけちまいな」
いつもそうだ、心のなか見透かされてる。でもふくちゃんになら悪い気はしない。気を入れ換えて目の前に玉を持ち上げて投球する構えをとる。
「……しゃあ!一発かましていくか!」
そうだ、フラれたんならフラれたんで次に繋げねーとな。逆にそこで意思表示したなら意識してくれるかもしんねーし。くだらない事で悩むな俺、幾千の感情に潰されんな俺。フラれたってまだ経過段階だっての。
カコーンという気味のいい音と共に投げた玉が見事に両サイドの二本のピンを残して通り過ぎた。相変わらず締まらないよな、俺って。
~第一話・傷心ハート 終~
最初のコメントを投稿しよう!