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少し唸ったあと、愛花は口を開く。
「バレー終わって忘れ物取りに帰ってきたら透がいて、ちょっとびっくりしちゃった」
話題を変えたかったのか、愛花は窓を閉めながらそう言う。
透は閉められた窓の方を少し気にしていたが、すぐに愛花に向き直す。
「うん、愛花を待ってたからね」
「そうなんだ……ってええっ!?」
顔から湯気が出るような勢いで愛花の顔が真っ赤になる。
「どうかした?」
「い、いや……別に大丈夫」
愛花は俯いたまま顔を上げないでいるが、耳も真っ赤になっている。
そんな愛花を見て透は笑う。
幼馴染の二人はこうして時間を共にする事も多い。
類を稀に見る天才、もはや校内で透を知らない人は少ない。
そんな彼を陰ながら支えているのが愛花である。
そこから生まれる感情は、お互いに信頼から恋心へと動いていた。
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