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帰宅のために廊下に出た二人の教室から対面の校舎。
「な、なんとか間に合った」
ふぅ、と一息つく女生徒が背中の扉にもたれかかりながら呟く。
かなりの距離を走ったのだろうか、息が切れている。
キョロキョロと辺りを見回して、もう一度息を吐く。
「うーん、連絡ないなー……」
ポケットに入れてあった携帯を手にする。
スリープモードを解除しても、連絡が入ったという表示は見れなかった。
「課題出し忘れてて、一応理科室に行くって連絡は入れておいたんだけど……」
「終わったか?」
言い終わらないうちに廊下の先から声がかかる。
驚きのあまり飛び上がった女生徒がそちらに視線を移すと、茶髪の生徒がこちらへと歩いてきているところだった。
「わわわ隼人!?」
「……? なんでそんな驚いてるんだ聖花?」
顔を真っ赤にする女生徒――戸田聖花はぶんぶんと両手を振る。
「い、いや……突然声かけられたからびっくりしちゃっただけ……大丈夫大丈夫」
「ああ、悪かった。一応呼んでだけど、聞こえてなかったみたいだからさ」
茶髪を掻きながら――瀬戸隼人は廊下の先を指差した。
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