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和輝と琴実は雑談しながら廊下を進んでいた。
放課後になってから時間が経っているため、学校ですれ違う生徒は日中よりは少ない。
2人が下の階へ降りる階段へ差し掛かった時、階下の廊下を曲がってくる人影があった。
「ん……?」
「あっ……」
廊下から顔を出した3人のうちの一人はとある人の顔を認めると、気まずそうに視線を逸らす。
そして目を逸らされた方も例外ではない。
「真奈瀬ちゃん……」
琴実がその光景を見て辛そうな表情を見せる。
何かが二人の間にあったのは顕著だ。
琴実が声をかけても、真奈瀬と呼ばれた女生徒は示さず俯いたまま黙り込んでいる。
それを見かねたのか、隣にいた女生徒と背中に大きなカバンを背負った男子生徒が口を開く。
「こんにちは和輝さん、秋山さん」
「こんちゃー先輩」
その二人も不穏な空気を察したのか、挨拶だけして黙り込む。
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