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放課後の教室、既にホームルームを終えた教室は活気づいていた。
教室のあちこちで、仲のいいグループのいくつかが今後の予定などを話している。
「おーい!」
そのグループのうちの一つから一人の男子生徒が声を上げる。
他グループの視線がそちらへ移ったのも一瞬で、男子生徒は特に気にした様子もなく窓際へと歩いていく。
「おい、和輝。今からカラオケ行かないか?」
目をキラキラさせながら窓際の席で机に突っ伏している生徒に声をかけるが、反応はない。
「聞いてるのかー? おーい和輝ー?」
「聞こえてるよ……康史」
和輝と言われた男子生徒は顔を上げる。
そのタイミングで女子生徒が和輝と康史の間に顔を覗かせる。
「カップルで行ったらなんと半額なんだってさ! 一緒にどう?」
ニヤニヤしながら笑う女子生徒――仲居雪江はそう言ってとなりの男子生徒――坂下康史の肩を叩く。
「いてっ! 雪江痛いからタンマタンマ……」
「相変わらず元気だなお前ら……」
そんな二人の様子に苦笑いしながら――斎藤和輝は頭をかく。
「俺は別にいいけど、琴実に聞いてみないと分からないな」
「琴実ちゃんどこにいったの?」
雪江がキョロキョロと辺りを見回すが、どうやらお目当ての人物が見つからないらしい。
「さぁな……トイレにでも行ってるんじゃないか?」
そう言いながら和輝はスマホを取り出す。
連絡が来ているか確認しているようだが、ダメなようだ。
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