1章『開幕』

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「なぜこんな時に限って……! よよよ……」 雪江が膝を折ったまま手で顔を覆う。 相当ショックだったらしい。 「いや、問題ない」 二人のやり取りを見かねた和輝が口を挟む。 「今日は奢るよ」 「えっ? でもそんなの悪いよ……」 申し訳なさそうに手を振って首を振る。 心なしか琴実の顔が赤く見える。 「おー? イケメン発言入りましたよー」 いつの間にか復活していた雪江がニヤリと笑いながら隣にいる康史の脇をつつく。 「うっ……」 表情が強ばったまま康史はしばらく動かなかったが、やがて観念したように一息つく。 「しゃーねーな……」 「やったー!!」 してやったりといった表情は雪江、苦笑するのは和輝と琴実、康史は和輝に恨みがましい視線を送っていた。
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