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『そういえば、山瀬さんちのゆうくん、沙菜と同じ高校受けるんですってね!』
お母さんが思い出したように言う。
『えっ、友貴が!? アイツ勉強苦手だったじゃん!』
お兄ちゃんが驚くのも無理はない。
ゆうくんは見るからに勉強が苦手なタイプだった。
中学でも、同じ男子バスケ部の不良っぽい人たちと一緒にいることが多くて、制服も着崩していた。
生活指導の先生には何度も注意されてるみたいだったし、テストで赤点を取って補習を受けてるのも見かけた。
だから……夏に同じ塾に入ってきたときは、私もびっくりしたんだ。
『でも、成績はぐんぐん伸びてるんでしょ?』
『そう……みたい。よく知らないけどっ』
私は素っ気なく答える。
スポーツや生徒会で活躍してる人たちとちがって、目立つ特技もない私は、勉強だけはそれなりにマジメにやってきた。
なんの取り柄もないなんて、イヤだしね。
だけど、塾に入ってからのゆうくんは、どんどん成績を伸ばしていて……。
塾のテストの上位表にも名前が出るほどになってた。
そして、志望校は私と同じ、この地区で2番目の進学校らしい。
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