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「……沙菜、泣くなよ」
「ふぇ……ゆ……ゆぅ、くん……?」
「ほらっ」
「……わぁ! きれいなちょうちょ!」
幼なじみのゆうくんだけは、いつも私を笑顔にしてくれた。
ゆうくんはお日さまみたいで、ヒーローのようで……。
私の初恋の人だったんだ。
「俺が一生、沙菜を守ってやるからな!」
「じゃあ沙菜、ゆうくんのお嫁さんになるっ!」
心にあふれる想いを、素直に言葉にできてた、あの頃。
まだ5歳の私たちは、恋なんて、ちゃんと理解できてなかったかもしれない。
だけど、あの日交わした約束を、私は何年も信じていたんだよ。
たとえ、君の心が、私から離れていったとしても――。
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