*第1章*君との距離

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「沙菜ってさぁ……」 愛が私の耳もとに顔を近づけて、こっそり話す。 「ん?」 「山瀬くんのこと、好きなんじゃないの?」 「えっ!? そっ、そんなわけないよ!!」 って……はっ! 大声出しちゃった! もう一度周りをきょろきょろ見てみると、さっきゆうくんの話をしていた女の子たちが「どーしたの?」って顔でこっちを見てた。 は……はずかしぃぃ~。 ふだんおとなしい私がいきなり叫んだら、そりゃびっくりするよね。 どうしよ、顔が熱いよ! なんて言い訳すれば……。 「なんでもないよ! ごめんね!」 すかさずフォローを入れてくれたのは、愛。 「……そう?」 「沙菜ちゃん、おもしろいね」 ニコニコしながら、そう言われる。 ……おもしろくなんかないよぉ。
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