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鳥人間は抱えていた弥生を空高く投げ飛ばした。もう弥生は、姿が見えない。あのまま校庭なんかに落ちたらまず命はない。
でも俺には助ける術なんてない。俺は普通の高校生だ。力なんてあるはずもない。このまま俺も弥生と同じように殺される。
「……目覚めよ……」
不意にどこからか声が聞こえた。鳥人間にも聞こえたようで剣を構え臨戦態勢をとっている
「目覚めよ……我が力」
「立ち上がれ……少年」
「壊せ……この世界の未来を」
「さあ」
「「「「ラグナロクの名のもとに!!!!」」」」
空からの光は俺……ではなく俺の持つロザリオにめがけて突き刺さった。あまりの眩しさに目を閉じていたが恐る恐る目を開いた。
「よぉ、相棒」
黒く巨大なドラゴンのような生物が目の前にいた。
翼から尻尾まで真っ黒で硬いウロコのようなものに覆われている。爪も牙も鋭くかすっただけでも人の体が2つに裂かれそうだ。
「まずは俺の話を聞いてもらうぞ」
そう言ってドラゴンは周りを見渡した。空の鳥や風船が止まっている。落ちてきている弥生も止まっていた。近くにいる鳥人間も臨戦態勢をとったままピクリとも動かない。
「わかるか?この世界はいま止まっている。俺はいまお前の心に直接話しかけている訳だ。」
「ちょっ……どういう訳だよ!?意味がわからない」
俺は余りにも頭が混乱していて何されるか解らないようなドラゴンに話しかけた。我ながら馬鹿だと思う。
しかし不思議とこのドラゴンからは殺意と言うかそういうものを感じなかった。
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