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夏休みもあっという間に終わってしまい、短期バイトだった為コンビニのバイトも辞めた。それから私に優しくしてくれた先輩とも連絡を取らなくなった。迷惑をかけたくないと思ったからだ。始業式の朝はとても憂鬱だった。このまま帰ろうかとも思ったくらいだ。でも私は何もできなかった。周りに流されてただ単に授業を受ける。しかし、千夏の視線が怖くて仕方なかった。やはり1人だけの昼食時間は寂しい。だけど、私は隣のクラスに仲のいい人がいても動けなかった。皆は私をどう思うのだろうか。そんな事ばかり気にして過ごすようになった。私の存在が邪魔なのではないか。そう思いさえした。
私の通っている学校は何故か行事を詰めてやっている。夏休みが終わったかと思えば文化祭の準備へと取り掛かった。私たちの学年は展示物をやることになっていた。私は特に用事もなかったので参加していた。作業中もやはり周りの目が気になって仕方なかった。私はいてはいけないのか、と考えてしまうようになった。特に千夏の目が怖かった。ただならぬ雰囲気を感じていた。作業中に抜け出してトイレに篭った事も多々あった。涙が止まらなかった。ずっと堪えていたものが溢れ出した。ずっと抜け出しているのも悪いかと思い、教室に戻った後に担任に体調不良なので帰るとだけ告げて教室を去った。
帰り際にメールが一件届いていた。目を疑った。宛先は千夏だったのだ。無視するわけにもいかず、恐る恐るメールを開く。どんな事が書かれているのだろうか。中傷なのだろうか。
「途中で帰ったけど大丈夫?何か泣いてたみたいだけど何かあったならいつでも千夏に相談してね」
その文面を見て私は思わず携帯を落としそうになった。何を言っているのだろうこの女は。 自分のことだと気づいてすらいない。驚きで声が出なかった。自分のしたことに気づいていないのだ。この女がいかに怖いかを改めて実感させられた瞬間でもあった。この女には何を言っても無駄だと確信した。
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