第1話

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高校1年生といえば,桜に迎えられて入学し,新しい友人が出来て,それなりに楽しく過ごす時期である。時には進路などの悩みにぶつかったり,そんな事もあるだろう。 私は進路なんて目もくれず,ただただ充実した毎日を送っていた。初めて出来た友達とは中学時代の友人を通して知り合った。元々彼女とは仲が良かったし,クラスが一緒だと聞いた時はお互い喜びあったものだ。あの時までは,私だって普通で,平凡な女子高生だった。 そう,あの時までは。 5月の半ばくらいだっただろうか。 だんだん新しい環境に慣れ,友達も次第に増えて,私もそれなりに充実した毎日を送っていた。休憩時には机を囲んでよく話していた。話す内容はあの子がかっこいいとか,そんな他愛のない事で,あまり話にはついていけなかったけども聞いているだけでも幸せだった。周りに誰かがいるということに幸せを感じていた。誰かがいたら安心する。孤独の痛みはよく分かっているからである。中学時代,些細な事で友達と仲違いし,暫くクラスに馴染めずに学校を休みがちな時期があったのだ。そんな事を2度と繰り返したくないという思いで毎日周りの顔色を伺いながら過ごしてきた。そんな生活を何処か窮屈に思っていた。でも,そうすればまた同じ事を繰り返してしまう。だから周りに従うしかなかったのだ。 そんなある日,退屈しのぎにSNSを見ていると明らかに私だと分かるようなそんな文章が掲載されていた。仲の良い友人が書いたものだった。悲しくなった。そう言えば彼女は高校入学してから何処か別人のように思えたのも事実だ。中学時代は凄く世話焼きな優しい人物だったが,高校入学してからは人に対してきつい言い方したりとそんな感じだった。気づいてしまったけれど,関係を断つのも嫌だったので知らないふりをした。 昼休憩に皆で机を囲んで,昼食をとる。当たり前の光景だが,一緒に食べているのだが,まるで私がいないようなそんな感じだった。 「ねぇ」 話しかけても無視された。声が小さかったのだろうか。何回か声を掛けたがそれでも無視された。私が何をしたのだろうか。この悲しみを誰にぶつけていいのか分からず自分から関係を断ってしまいそして私は孤独になってしまいました。
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