第1話

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「死ねばいいのに」 あの言葉を思い出し,涙しながら帰った。死ねばいいのにって死んだら私のことを好きになってくれるの,また一緒に出掛けたりしていいの。分からない。どうすればいいか分からない。どうしたらいいんだろう。親にも相談できずにいた。きっとまた同じことが起こったと思い,ショックを受ける事くらい目に見えていたからだ。それでもその頃から私の歯車は狂い始めていたのは確かである。 家にも帰る気になれず,図書館で過ごし,そこで飲み物を頼んだ。冷たい氷が注がれ,牛乳と溶け合うインスタントコーヒーの粉。かき混ぜたら綺麗な色になるが粉がコップの底に溜まる。それをまたかき混ぜる。それの繰り返しをしていた。こんな風に混ざりあえたら,こんな風に戻れたら。そう思ったけどもそれも叶うわけもなく。私と千夏との関係はもう水と油なのだ。戻ることはない。混ざり合うこともない。分離してしまっているのだ。 誰にも相談できず,夏休みを迎えた。夏休みになれば帰宅部の私はクラスメイトと会うこともない。だから少し気楽だった。1ヶ月という長いようで短い期間を有意義に過ごそうと思った。そう,有意義に。
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