出会い

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馴れた山だと侮ったのがいけなかった。 「っ…たた…」 足を怪我してしまった様で 立つことはままならない 溜め息混じりに空を見上げた。 心なしか、少し遠くなった様な 気のせいだろうが 私は、穴に落ちてしまったのだ。 足の怪我も有り、一人で登れそうもない。 その内、家来が探しに来るだろうと 早々に自力での脱出を諦めた。 今朝は天気が良かったので、数人の家来を共に猪狩りに来てみたものの 猪には逃げられ、家来ともはぐれ 挙げ句の果てに穴に落ちるとは… 今日は、厄日であろうか。 再び溜め息が漏れた。 「あ、アンタ大丈夫か?」 不意に声を掛けられ、顔を上げる。 見知らぬ男の子 十やそこらだろうか 「いや、足を挫いてしまった様だ 痛くて立てぬのだ」 そう声を上げれば、男の子は躊躇せずに、己も穴の中に飛び降りた。 「なっ…」 「すまんな、猪用の罠だったんだ」 驚く私を抱えて、謝る子供 こんな細腕で… 感心もつかの間 子供は、スタッと軽やかにジャンプして見せ 気付けば、穴の外に… その身のこなしは 「忍…?」 思い当たる物を呟く。 「いや…」
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