出会い

3/14
前へ
/62ページ
次へ
子供は、そう答えると私を地面に降ろし、己の着物を破って手当てをしてくれた。 見れば その子の着物は、既にボロボロである。 「見た所、良いなりをしているが 一人で山に入るのは危険だぞ 俺が、山賊だったらどうするんだ?」 少し、説教染みた事を言う子供は、5つは違うだろう自分より大人に思えた。 「連れが居たのだ…しかし、はぐれてしまって…」 落ち込んだ様に眉を寄せれば、少し思案した様子を見せる。 「それは、連れも心配してる事だろうな 少し待ってろ」 子供は、そう言うと近くの木に登り、辺りを見渡した。 耳をすませている様だ。 直ぐに降りて来ると、私の手を掴む。 「見つけたぞ」 そう言うなり、私を抱えて走り出したのだ。 そして暫く行くと 「殿ーどこですかー!」 「とのー」 私を呼ぶ家来の声 「此所まで来れば見つけて貰えるか もう迷子になっては駄目だぞ」 子供は、そう言うと私を降ろし 引き留める間もなく、再び走り去ってしまったのだった。 「殿ー」 そう、己を呼ぶ声 「私はここだ」 そう言って姿を現せば、家来達が慌てた様に寄って来る。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加