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子供は、そう答えると私を地面に降ろし、己の着物を破って手当てをしてくれた。
見れば
その子の着物は、既にボロボロである。
「見た所、良いなりをしているが
一人で山に入るのは危険だぞ
俺が、山賊だったらどうするんだ?」
少し、説教染みた事を言う子供は、5つは違うだろう自分より大人に思えた。
「連れが居たのだ…しかし、はぐれてしまって…」
落ち込んだ様に眉を寄せれば、少し思案した様子を見せる。
「それは、連れも心配してる事だろうな
少し待ってろ」
子供は、そう言うと近くの木に登り、辺りを見渡した。
耳をすませている様だ。
直ぐに降りて来ると、私の手を掴む。
「見つけたぞ」
そう言うなり、私を抱えて走り出したのだ。
そして暫く行くと
「殿ーどこですかー!」
「とのー」
私を呼ぶ家来の声
「此所まで来れば見つけて貰えるか
もう迷子になっては駄目だぞ」
子供は、そう言うと私を降ろし
引き留める間もなく、再び走り去ってしまったのだった。
「殿ー」
そう、己を呼ぶ声
「私はここだ」
そう言って姿を現せば、家来達が慌てた様に寄って来る。
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