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何日か、忙しい日を過ごした後
再び猪狩りに出掛けた。
しかし季節は、既に秋の終わりへと差し掛かっていた。
猪狩りに出れるのは、今日が最後かも知れない。
着いて来た家来が、気づけば、また居なくなっており
好都合と、藤五郎を呼ぼうとした時だった。
「むぐっ…!」
突然、強い力で口を押さえつけられた。
横目で睨めば、屈強な男が目に入る。
「やっと、捕まえたいぜ
手こずらせやかって」
クックックと、笑う男
「噂通り綺麗な顔だなあ
殺す前に少し楽しませて貰おうか」
男は言うなり、私を木に押さえ、縛られる。
何が何だか解らず、混乱する私の口を、布で塞いだ。
声を出す事は、ままならない
下品に笑う男は、私の着物を脱がせた。
「綺麗な肌だな」
そう言って、私の肌を舐め回す。
気持ち悪い…
そう思うのに、声は出せず
涙が零れた。
藤五郎…
何故か、目を瞑って藤五郎を思いだした。
暫く、あのおっちょこちょいな殿様が来ないお陰で、猪の罠は無事で助かる。
しかし、何処か寂しいと思うのは…
気のせいだろう。
今日も罠は、無事な様だ。
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