序章「HAPPY BIRTH DAY」

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「な、何事!?」 「お黙り! 集中できない!」 「はい……」 怒られたので、引っ込んだ涙がまた戻ってきた。 この時点で二人が一緒に生活するとどうなるか、未来のビジョンが見えたような気がする。 「…………」 そのまま体育座りでじっと待つ匠。 視線は苺のショートケーキだった人。 自分が彼女を作り出したという、現実味が欠ける現状にこれからどうすればいいのか考えていた。 光包まれるこの光景も、目の前の女の子も全部夢じゃないのか、という思考は既に泣いているうちに終わらせていたのだ。 匠は天然で、若干子供っぽいが、考えることだけは人より得意だった。 その考える事は、彼のお菓子作りも勉強の成績にも影響を与えていて、またパーソナルの確立の大部分を占めている。 学校での評判は上々。 性格も良ければ頭も良く、童顔な所も人気の一端を担っている。 そんな彼が考える未来予想図。 (この子と一緒に暮らす、かぁ。 話を信用できるかって言ったら、出来るのかな? 家の鍵は全部閉まっていたし、帰ってきてから室内に入ってきたなら気付くよね。 ずっと冷蔵庫の中に居たにしても、あの子の体温はそこまで低くなかったから、冷蔵庫の中に突然現れたとしか考えられないし……)
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