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「ふぅ、失明するかと思ったわ」
「あはは、君がやったんだけどね……」
匠は苦笑いしつつも、先ほど少女がなにかをしていた丸机の上に目を向ける。
するとそこには――
「あ……」
「ふふん、どうやら成功したみたいね」
少女は匠の表情を見て、得意気に口の端を上げた。
「ケーキ、だ」
そう、苺のショートケーキがそこにあったのだ。
それも、まるでお店で出されている商品のような精巧な作りのもの。
「私は熱エネルギーをそのまま苺のショートケーキに変換できるの。
その逆で苺のショートケーキからエネルギーを取り出すこともできるんだけれど、後者は使い時が少ないわね」
「あの……」
「ん、何?
感謝の気持ちならいくらでも受け取ってあげるわよ、ほら、早く」
腕を組んでそっぽを向いている少女は、傲慢な物言いだが顔が若干赤くなっている。
かなり早口で長々と喋るのも、恐らく照れ隠しだろう。
「……嬉しい、ありがとう」
「…………~~~~ッ!!」
照れ隠しだったので、本当に感謝されるとは思っていなかったのか。
しばらく硬直した後、顔が苺のように真っ赤になった。
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