序章「HAPPY BIRTH DAY」

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「新幹線でいいから!」 「いやいや、お金とんでもなくなっちゃうからね?」 「母さん、みー君のこと心配でしょうがないの。 お金なんて大した問題じゃないわ!」 今の会話から分かると思うけれど、うちの母さんは超がつく程の親バカだ。 でも父さんは割と理性的なので、母さんのストッパー担ってくれて助かる。 僕だけじゃあの人を止められない時もあるからなぁ……。 「とかなんとか言ってるけれど、私が寂しいだけなの! みー君帰ってきてぇ!! ゆーちゃん、最近私に冷たいのよぉ!」 「本音が出てる本音が出てる」 しかし、ゆーが母さん達に冷たい態度をとる図があまり想像が出来ないんだよなぁ。 「あー、反抗期かな?」 「みー君がいなくなってからそんな感じなの。 お兄は、お兄が、とかみー君の事ばっかり言って、私と父さんには素っ気ない態度とるのよ? 昔からお兄ちゃん子だったけれど、最近は特に酷いの!」 僕には反抗期と呼ばれるものがあまりなかった事もあって、母さんは困惑しているのかもしれない。 「じゃあ、今度それとなく聞いてみるから」 「え、じゃあ帰ってくる!?」 「長期休みに一回帰るよ」 「みー君のバカァッ!」 「えぇ……?」 困惑している僕をよそに、通話はそれで切れてしまった。
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