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ところ変わり、勇者召喚が行なわれた17年前。とある家に新たな命が芽生えようとしていた。
「まだか!まだなのか!!」
ソワソワしながら近くにいた執事に話しかけている男性は、20代くらいの青年で、子が産まれるのを今か今かと待ち構えていた。
「旦那様、落ち着いてください。貴方様がソワソワしたところで何も変わりません。落ち着いてお待ち下さい」
「しかし、心配なのだ!もし、子どもと桜花(おうか)に何かあったと思うと!!」
「だから落ち着いて下さいと言っているでしょう!!貴方がしっかりしていなければ護れる者も守れませんし、何よりお嬢様が不安になります!!」
「っ、そうだったな、すまん。ありがとう」
「いえ、私は当然の事をしたまででございます」
男はあまりにも落ち着きがなさすぎて執事に宥められる。もう3歳になる娘を不安にさせないよう、どっしり構えるよう諭され、男は冷静さを取り戻した。ゆっくり椅子に座り、再び生まれるのを待つ。しかし、不安を完全に取り除けてはいないので、少しソワソワしてしまうのは仕方のないことなのだろう。
「旦那様、無事産まれました!!元気な男の子ですよ!」
「本当か!?」
看護婦の言葉に反応し、男はガタッと、音を鳴らし立ち上がった。
「祭(まつり)、良かったな!今日からお姉ちゃんだぞ!」
「あかちゃんうまれたの?」
「ああ!」
「やった~!!」
男から告げられ、嬉しそうにはしゃぐ、祭と呼ばれた女の子。男は祭を抱え上げると、駆け足で妻の元へ向かった。
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