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「桜花、無事か!?」
「そんなに慌てなくても大丈夫よ。ほら。こんなに元気な子が産まれたのよ?もっと喜びなさい」
そう言って桜花と呼ばれた女性は、抱きかかえた赤ん坊を男に見せる。
「確かに凄く元気そうだ。活発な男の子になりそうだな」
男は赤ん坊を抱きかかえ、豪快に笑いながら桜花にそう返す。
「祭、貴方は今日からお姉さんなんだから、しっかりしなくちゃね?」
「うん!!」
桜花は祭に優しく言い、頭を撫でた。祭は弟ができた嬉しさからなのか、元気良くそれに答える。赤ん坊は眠くなったのか、大人しくしている。桜花はそんな家族の様子を笑顔で見ていた。
「この子の名前はどうするんだ?」
「もう決めてるわ、この子名前は……」
男が尋ねると、桜花はフフッと笑い、すでに決まっていると言った。愛おしそうに赤ん坊の頭を撫でながら、少しだけ悲しそうな表情になると、名前を呼んだ。
「変華、進道 変華(しんどう へんげ)よ」
と。彼、変化は、変華として新たな生を得る。
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