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「あの黄色い猿共の仕業か……」
このホテルの仕業に違いない。という結論に達するのにそう時間は必要無かった。
「余計なことをしやがって……!」
彼にとって、これが善意であるか否かなどは関係ない。
憎き存在である日本人によって手が加えられた。ただそれだけの事実が、バークの心に憤りを生み出したのだ。
バークは自室を出ると、ホテルロビーの受付員へ苦情を言った。
「私の花を勝手に花瓶に移し変えただろ?ここへ来たときに必要最低限のこと以外で私に関わるなと言ったはずだ!」
これに受付員はてっきり謝罪を述べてくるであろうと思っていたバークは、この後返って来た言葉に困惑した。
「えっと……申し訳ございませんが……バーク様。
いらっしゃった際に、確かにそう仰られたことは勿論存じ上げております。従業員一同、それを肝に命じて今日まで働いてきておりますので……当ホテルではその様なサービスは致しておりません。」
「……何だと?」
ホテルの仕業ではない。
ならば誰が、一体何のためにあんなことをしたのか?
その夜、バークは答えに辿り着けないもどかしさを抱えたまま眠りについたのだった。
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