第6話

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揺れるような、囁くような弱々しい声。 不安が胸を黒く染め、先生の瞳を探そうと頭を上げようとしたけれど、 先生の手のひらが、やんわりとそれを阻止する。 「お前は……… 空を見上げて元の世界を恋しがるような、そんな辛さ、味わう必要ない」 つい最近も、似たような台詞を聞いた。 ………そうだ。 あれは、長谷川先生。 そうつながった途端、 悲しい事実に気がつく。 先生………私、分かっちゃったよ。 これは、柔らかだけど……… 残酷で。 冷たくて。 悲しいくら優しい、 拒絶だ。 抱きすくめられている両腕をゆるゆると動かして、先生の背中に回す。 先生のしっとりとした体温と、 立ちのぼる薫りがあまりにも甘くて………。 鼻の奥がツン、とする。 それに負けないように瞳をぎゅっと 固く閉じた。
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