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平日の駅前は、通勤・通学の時間が過ぎれば波が去ったように色を変えていて。
悪いことは何もしていないのに、
時計台の下に立つ自分が見られている気がして居心地が悪い。
時間は約束の10時になろうとしていた。
ーーー4日前。
ついに携帯を元に戻す約束をしていた週末になった。
だけど先生のドタキャンで、
学校の創立記念日で休校になる今日に変更になって。
先生は、「どうしても動かせない予定が入った」って言っていたけど………。
きっと、「予定」は悠花さんだろうってすぐに分かった。
多分悠花さんは、それに私が気がつくことも想定内で……。
わざと先生を捕らえたままにしたんだと思う。
私は……
このお祭りのような、非現実的な夢から醒める最終通告の日が延びたことに、
どこか安堵していた。
だけど。
見覚えのある白いRV車が
駅のコンコースをすり抜け、こちらへ向かってくる。
私の目の前で静かに止まると
助手席のパワーウィンドゥが開いて。
「ドーモ」
私の大好きな、少し照れた先生の笑顔。
「おはようございます」
ゆっくり微笑み返す。
この瞬間。
私と先生の、最後の一日が
音もなく始まった。
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