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正面の王座には、大きな体格の鬼が座っていました。側には2人の鬼を従えています。
「あ、僕ら間違えて迷い込んだので。これで失礼します。」
戦いを放棄し、撤退を選んだ桃太郎さん。しかし、逃げ道には側近の鬼が通せんぼをしていました。
「くっ、いつの間に!」
「見えなかった、だと?」
「力が…力が違いすぎる!」
科学兵器の力を借りた桃太郎さん達と違い、自らの肉体を鍛えに鍛えた鬼達。その戦闘力には、残酷過ぎる程の差がありました。
「ふむ、良い体つきをしているな。これは楽しめそうだ。」
一瞬で桃太郎さんの背後に移動した鬼の王は、桃太郎さんの全身を撫で回します。
蛇に睨まれた蛙状態の桃太郎さんは、その感触に堪える事しか出来ませんでした。
「ちょっ、鬼までそういう趣味の?止めてって…アッーーーーーーー!」
お供の犬・猿・雉は桃太郎さんの援護も出来ず、鬼の王に蹂躙される桃太郎さんを見る事しか出来ませんでした。
その表情には、何故か嬉しさが僅かに浮かんでいたようです。
こうして桃太郎さん達は、鬼達の前に敗北を喫したのでした。
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