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お爺さん達はいそいそと股下を下ろし始めました。
「そ、それには及びませぬ。行って参ります!」
コカール君ターボも裸足で逃げ出す早さで走り去る桃太郎。
「「気を付けてイって来るんじゃぞ~」」
何だか微妙に意味の違う送り出しを受けて桃太郎は旅立ちました。
お爺さんの家を出た桃太郎は、別れ道に着きました。
右に行くと鬼ヶ島のある海へ。
左に行くと京の都へと続いています。
鬼退治に向かう桃太郎は、当然右に……
「さて、左に行くか。」
行きませんでした。
「逃げる口実なんだから、馬鹿正直に鬼退治なんか行くわけ無いだろ?
大体、素早さ特化の俺じゃ鬼にダメージ与えられないって。」
どうやら桃太郎は、自分のステータスを完全に把握しているようです。
「すっかり忘れてたが、これは持っているとヤバそうだから捨てておくか。」
お爺さんから貰った竹筒を腰から外そうとした、その時!
「桃太郎さん、桃太郎さん。お腰に付けたその粘液。使って私とヤ ラ ナ イ カ ? 」
目の前に現れた真っ白な犬が、桃太郎のお尻を狙っていました。
「助けてくれ~!」
来た道を逆走する桃太郎。犬は尻尾を振って追いかけて来ます。
普通なら人間は犬の早さに勝てませんが、そこは素早さ特化の桃太郎。別れ道まで逃げて来ました。
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