第1話 桃太郎

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(くっ、家に戻れば犬とお爺さんの挟み撃ちか。仕方がない!) 鬼ヶ島に向かって爆走する桃太郎。何とか犬に追い付かれずにいました。 しかし、試練とは続く物です。走る桃太郎の側に、木から木へと飛び移る影が並走していたのです。 「キキッ、桃太郎さん桃太郎さん。お腰に付けた、その粘液。使って私と ヤ ラ ナ イ カ ?」 「こいつもかよ~!」 更にお尻を狙う者が増えた桃太郎。嘆いても仕方ないと走る足に力を込めました。 後ろから迫る犬に、右を並走する猿。左の森に突っ込む事も出来ず、鬼ヶ島へと着々と近付くのだった。 「もしもし、一体どうなさったのですか?」 桃太郎の左から話しかける声が聞こえました。 犬と猿を恐れるあまり、左への警戒が疎かになっていたのです。 驚いて左を見ると、雉が飛んでいました。 「犬と猿にお尻を狙われているんだ。助けてくれ!」 桃太郎は藁にもすがる思いで叫びました。 「わかりました。私に良い案があります。」 「本当に?どんな方法が?」 尋ねながらも速度を落とさない桃太郎。お尻を守る事に必死です。
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