第1話

ともちゃん

199X年５月4日　2回目…

ついつい自分の理想を考えすぎちゃって。
本を借りてきたのをすっかり忘れちゃった。

図書館で借りてきたのは、数年前に流行ったらしい恋愛小説。

ざっと読んでみた。

高校生と大学生の恋愛だった。
ハッピーエンドなんだけど。

やっぱり私の理想じゃなかったな。

私はやっぱり強い、優しい、かっこいいが理想。

たまたま選んだ本が、なんだか泣きながら告白したり、困難に彼女が助けてくれて、結果ハッピーエンド。

なんとなく、情けない気がした。

やっぱり男だから、女の子をグイッと引っ張ってくれるのがいい。

うん、やっぱり私の理想はこれだ。

無口だけど、優しい。
いざと言うときは男らしくて、強くて。
なんとなく、ともちゃんに話す彼氏像が出来上がってきた。

よしよし、これで完璧。

あとは、ベッドで私の想像をかたちにしてみよう。

なんだか、ワクワクしてきちゃった。