妄想は世界を救う

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私の中の理想の私は、いつも完璧な女。 でも、実際の私はなにかが少しだけ足りない。 ダークブラウンの楕円形のテーブルはお気に入りだ。 ソファーは置かない。 「まゆもそろそろ結婚したいって言ってたじゃん。どうなの?私、まゆが結婚したいって言ってたからなんだか結婚したくなっちゃって。けんちゃんにプロポーズして欲しいアピールしまくったんだよね。」 ともちゃんとけんちゃんか。 彼女のあまりにも滑らかな饒舌ぶりに、一瞬笑顔が引きつっていないか不安になった。 「まゆさんは美人さんだから、もう特定の人がいるんじゃないかな」 2人で見つめ合って笑ってる。 向かいに座っている自分。 結婚したくなっちゃって、か。 したくなっちゃってできるのか、結婚。 相手ありきの話、でしょ。 結局、2人の結婚式の流れを延々聞かされ、行く意味あるのか?と自分にツッコミをいれ。 「必ず来てね。待ってるから」 手を振って笑顔を振りまいて。 2人の嵐が去っていくのを玄関から見送る。 まだ笑ってろ。 自分に言う。 エレベーターホールに曲がる2人の背。 もう、私の存在は視界にはない。 玄関のドアを閉め、鍵をかける。 リビングのテーブルにあるカップを片付ける。 こうして、結婚式にでるたびに増えるなにか。 このティーセットも、フライパンも、ナイフセットも。 カップを洗いながらふと考える。 また、祝儀と引き換えにこの部屋になにか増えるのか。
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