『世界の果て』

2/11
前へ
/47ページ
次へ
砂漠、見渡す限りの砂漠。 砂塵が吹き荒れて、前も見えない。 手元の懐中時計を見る。動いていない。 どうやら、吹き荒れる砂塵が入り込んで壊れてしまった様だ。 ぎゅっと懐中時計を握り締めて肩掛け鞄にしまう。 吹き荒れる風の音、薄暗い空、途方もない砂漠。 僕は膝をついて、力なく倒れた。 世界はある日突然に終焉した。 そして僕たちは死なない存在となった。 俗物、肉体的な束縛から解放され、永遠を生きる。 薄れいく意識の中で、いつからだろう、と思った。こんなにも、生きるということが辛いと感じる様に なったのは。 子供の頃、あんなにも無邪気に楽しめた世界は、 いつの頃からか真っ黒に染まって、束縛するだけの 世界になった。 僕にとって、永遠を生きる、なんてことは、 開放どころか、かえって束縛としかならないのでは ないか。 時間だけが与えられて、だからこそ、僕は希望を 求めた。けれど、もういい。僕はここで…。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加