3人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうぞ、一緒に入る?」笑顔でそう言った。
私は軽く会釈をしてそれを断った。
すると少女は傘を畳むと、私の隣にやってきて、一緒に
雨宿りを始めた。
「貴方、見ない人ね、どこか別のところから来たの?」
無邪気に、そして、明後日の方向を見て問いかけてきた。
それはまるで独り言の様に、とても優雅な響きだった。
「遠いところ、もう、どこから歩いてきたのか、
そんなことも忘れてしまったわ……」
恥ずかしい、でも、その場の雰囲気に当てられて、そんな言葉を
返していた。
最初のコメントを投稿しよう!