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「やっと見つけたわよ!」
響いたのは強い声。燃える意志を赤々と灯して、暗い世界を明るく照らす。
飛び出してくる赤い影。青い双眸が安堵を映し、構えた双銃が敵を睨んだ。
真っ先に反応したのは、いや真っ先になんてもんじゃない。まるでこのタイミングで飛び出してくることが分かってたように、黒竜は爪を振りかぶり牙をむく。
けれど、そんなモノ意にも介さない。
轟く咆哮、響く銃声。攻防はすれ違いざまの一瞬だった。
銃撃が爪を弾いて牙をへし折り、
「【爆炎(エクスプロージョン)】!」
短い浴衣の裾から中が覗くのもお構いなしに、爆発をのせた回し蹴り。
炎が鱗を焼き焦がし、衝撃が巨大な体躯を彼方に跳ばす。
「ご丁寧に魔力探知の妨害まで仕掛けてくれたおかげで見つけるのが遅くなったけど、なんとか間に合ったみたいね」
いや、登壇の機をわきまえてるよ、お前は。
蠢く影が群がって、迷いない歩みの先を遮ろうとする。
そんなことに意味はない。這い寄る影の軍勢も、その手に構えた武具たちも、寸分も足止めすることは叶わない。
撃って、殴って、焼き尽くす。湧き出すそばから蹴散らして、妨害虚しく合流する。
「お姉ちゃん!」
「待たせてゴメンね。さて、反撃開始といきましょうか!」
弱ったオレたちを背にかばい、心器狩りへとシエナは強く言い放つのだった。
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