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「そもそも心器狩りが襲ってきたのはあたしの心器が目的だったんだから、お礼というかお詫びするべきなのは、あたしの方だと思ふ──ふぇ、ふぁふぃふんもひょ!」
「まーたそんなこと言うのはこの口か」
おお、伸びる伸びる。シエナの頬すげえもちもち。
むにむにむにむにむにむにむにむに……
「い、いつまで触ってるのよ! ちょっとくらいならいいけど長すぎ!」
「あ、悪い」
予想以上に触り心地が良かったもんだから、つい。
「けど、またシエナが変なこと言い出すからだぞ。悪いのは心器狩り。助けに走ったのはオレの勝手だし、手足のケガも自業自得。全部シエナの気にすることじゃないっての」
「その理屈でいうなら、あたしがあんたのケガを治すのに付きっ切りだったのも、あたしが勝手にやったことだけどね」
いや、まあそう言われるとそうかもしれないけどさ。それとこれとは話が──
浴衣の裾がフワリと回り、袖が続いて舞い踊る。朱に染まった頬のまま、浮かべるのは満面の笑み。
「ま、今回は素直に受け取っておくわよ。その代わり!」
シエナの顔が間近に迫り、澄んだ青い目がオレを映す。
「今日の夕食当番はあたしね。あんたの好きなモノ食べきれないくらい作ってあげるから、覚悟してなさい!」
「……りょーかい。楽しみにしてるよ」
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