3510人が本棚に入れています
本棚に追加
「おーい、クロウ。そっちでイチャついてばっかだと、青い方の嬢ちゃんが拗ねちまうぞ」
「「い、イチャついてないですよッ!!」」
「わたしも拗ねてなんていませんよ!」
くそう。三者三様、ではなく三者二様になった返答に、オッチャンはニヤニヤ笑ってやがる。
ノエルの方も恨めしそうな視線を向けてくるのはオレにだし。
「王様、ねちゃねちゃ?」
うん、ニノ。お前はそのままでいてくれよ。
「で、クロウ。時間はまだいいのか?」
ひとしきり笑って満足したんだろう。笑顔を戻したオッチャンが軽い調子で訊いてくる。
けど、時間って…………あ。
「そうよ時間よ! そろそろギルドに行かないと!」
「そうです! ホントはギルドに持っていって食べるつもりでここに寄ったんでした!」
時間があるからとゆっくりしてたら時間ギリギリ。あるあるネタだな、とか言ってる場合じゃねえ。
「ほら急ぐわよ、シロウ!」
「急ぎますよ、シロウさん!」
先行した二人。あとに続こうと走り出した瞬間だった。さっきまでと違う真面目な声が耳を打つ。
「クロウ。どっちをとるか、ちゃんと決めとけよ」
………………はて、何のことやら。
最初のコメントを投稿しよう!