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「では確認ですねぇ。シロウさんのケガが完治し、『不死鳥の翼』のリーゼロッテさんの体調も戻ったとのことで、今日は先日の心器狩りの件について報告に回ってもらうことになりましたぁ」
三人とも黙って頷く。ここまでは聞いてる。えっと、確か他のギルドとか噂に聞く騎士団とかが話を聞きたがってるんだっけ。
「報告書は回してあるのですが、皆さん直接訊いてみたいそうですねぇ」
心器狩りってのは被害者が発見されるばかりで、犯人の目撃情報はなかったらしい。そこに直接戦ったヤツが現れたんだ。色々確認しておきたいこともあるんだろう。
「回って欲しい場所は四カ所ですよぉ。大手ギルドの『不死鳥の翼』・『マーメイド・ティアー』・『千の嵐』の三つと、それから騎士団本部からも要請がきてますねぇ」
「『不死鳥の翼』って金髪が所属してるところですよね。そこも回るんですか?」
「金髪? ああ、リーゼロッテさんのことですかぁ。所属ギルド員以外からも話を聞いておきたいんですよぉ。うちもこの後リーゼロッテさんに来てもらう予定ですからぁ」
ふーん。そういうもんなのか。
あとは話し合いというほどのものでもなかった。
シエナとノエルが『千の嵐』と騎士団本部へ。オレが『不死鳥の翼』へ行ってから、金髪と合流して『マーメイド・ティアー』へ。
アリシアさんを中心にとんとん拍子で話が決まった。のはいいんだけどさ。
「オレ、道が分からないんですけど」
「それなら問題ありませんよぉ」
「案内ならワシがしてやろうではないか!」
聞き覚えのある尊大な声がこだまする。けど振り返った先にいたのは、どうにも知らない人影だった。
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