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立ち止まり、振り返る。挑むような笑みを向けてくる学園長の後ろには、赤い鳥の象を門前に構えた厳つい建物。
ここがギルド『不死鳥の翼』か。
「五つの属性に存在する色の支配者。その中で所在が判明しておるのは、唯一シエナのヤツが持つ『赤の貴婦人』だけじゃ。一度失敗したくらいで、心器狩りが諦めるとは到底思えん」
元来以上に小さな背丈。しかし、そこから溢れ出るのは普段以上の真剣味。
「守りきれ。それだけが今お前が気にすべきことで、それがお前の物語じゃ」
「物語?」
「たくさんの世界が繋がって色んな事件が多発するこの世界でよく使われることわざというか、スラングというかそんな感じのヤツだよ」
「自分は自分のすべきことをこなすから、お前はお前の成すべきことを成せって意味ですよ」
「大仰な言い方に聞こえるかもしらんけど、たいした意味はないで。自分のすることさえやっとけば、後のことは他の誰かがしてくれる程度の考え方や」
クリスが、カインが、双真が、口々に補足してくれる。知識不足の目立つオレだけど、どうやらそれを補えるだけのモノには出会えたらしい。
ただ、理解出来たら出来たで呆れるしかないよね。
「……適当ですね」
「まあ、えてして世界とはその程度で回っとるもんじゃ。さしあたりここでの情報提供を無事に終えることを考えておけ。お前にとっては厄介な所じゃろうからの」
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