【色無き器を満たすモノ】

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 改めて見上げた『不死鳥の翼』は、どうにも近寄り難い威圧感を放っていた。  黒光りする巨大な門に、堅牢な要塞を思わせる外観。屋根なんか真っ赤で目立ちまくってるし。街中でここだけ浮きすぎだろ。  ただ、入りづらさを感じるのは見た目だけじゃない。どうにも引っかかるセリフがあった。 「そういえば、オレには厄介な所だとか学園長が言ってたけど、あれってどういうことなんだ?」 「ああ、ほらシローは属性を持ってないでしょ。特定の属性が中心になったギルドって、その属性至上主義が強い傾向にあるんだけど、ここはそれが顕著でね」 「属性ナシに関しては特に蔑視が蔓延っていまして、ギルドへの入門は絶対に認められません」 「学校とかで属性がないのを理由にケンカ売ってくるヤツがおったら、だいたいここのヤツやと思ってええくらいや」 「なんでそんなとこの担当がオレ!?」  顔を見合わせるクリスたち。相談してるという感じではなく、示し合わせてる風もない。当たり前のことを当然に再確認。 「だってそれが一番安全だし」 「さっきから不安な要素しか出てきてなかったんですが!? というか、赤のギルドならシエナが来た方が良かったんじゃねえの?」
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