【色無き器を満たすモノ】

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 うろん気な目を向けながらも納得はしたらしい。まあいいかと呟くと、ポケットから取り出した何かをこっちへと投げてくる。  キャッチ。開いた手にあったのは小さなお守りだった。 「一応渡しておくね」  感じるのは微かな魔力。効果のほどは分からないけど、ただのお守りじゃなくて魔法具だ。 「ありがとな」  礼を言ってポケットへ。  さて、それじゃあ乗り込むとしましょうか。  黒く輝く門を抜け、ギルドへ足を踏み入れる。  広がったのは大きな酒場。仲間との待ち合わせのため、情報を収集するため、依頼達成を祝うため。様々な理由が相まって、ギルドはこうした酒場形式をとってるものがほとんどらしい。ここもその例に漏れてなかったようだ。  外見の厳つさとは対照的に、内装は明るく騒がしい。  不死鳥をモチーフにしたのであろう紋章が所狭しと並べられ、その間を縫うようにトーナメント表だの、総当たり戦の試合表だのが張ってある。  赤々と掲げられた炎に照らされたそれらを見るに、ギルド内で番付戦なるものが開かれてるようだ。  血の気が多い。クリスたちの話を聞いて抱いた感想がぴったりだけど、それは同時に活気が溢れてるってことでもある。
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